企業には人材戦略が必要である

付加価値の源泉が、「資本」から「人材」へと変化してきました。人材を育て、人材を活かさなければ、企業は存続できない経営環境にあります。

顧客により近い、職場・現場での臨機応変な問題解決、価値の創造が、企業競争力の差となってきました。職場・現場で、従業員の自律的な対応力の違いが、企業競争力の差となっています。

日本を代表する自動車メーカー トヨタの強みは、現場での改善活動、提案活動にあります。現場の自律的な活動・行動が、企業競争力の源泉となっています。

企業には、人材を機能させる仕組みが必要です。その仕組みが、人材戦略です。

人材戦略の目的は、事業戦略や事業計画を実現するために、従業員が自ら考え、意思決定し、解決のため自ら行動し、成果を出せる、自律的な従業員と組織を作ることにあります。

そして、自律的な従業員と組織を作るために、 企業は、次のことを徹底しなければなりません。

1.経営者は、企業の価値観である経営理念、経営目標、行動規範を作成し、従業員に浸透させること

2.経営者は、事業戦略・事業計画の策定する際、従業員を参画させ、目的・目標を共有すること

経営理念
企業の存在目的・存在価値(価値観/倫理観/事業観)

経営目標
企業の目指す将来像(経営理念を実現するための目標)

行動規範
企業が求める人材像(企業が必要とする人材の役割/能力/行動)

事業戦略
経営資源の最適化(商品戦略/人材戦略/財務戦略)

人材戦略
仕事の生産性(組織開発/職務開発)
労働の生産性(労務管理/人事管理)


経営理念・経営目標・行動規範

企業は、事業を運営する上で、自らの価値観を持っていなければ、存在価値・存在意義を失ってしまいます。

企業に、明確な価値観があれば、事業の方向性、日常業務における判断基準、従業員の採用、活用、育成の評価基準となります。

企業にとって、価値観とは、経営理念、経営目標、行動規範をいいます。

企業の価値観である経営理念、経営目標、行動規範には、企業が社会に貢献するための思いやこだわりが込められています。

企業の思いやこだわり、企業の価値観が、他社との違いであり、企業の強みとなります。

顧客が、企業の価値観に共感し、価値観を共有できれば、顧客と企業、顧客と商品との間に、強い連帯感、忠誠心(ロイヤルティ)が生まれます。

顧客のリピート化、顧客の熱狂的なファン化を図るには、顧客と共有できる企業自らの価値観が必要です。

一方で、顧客の悩みや不安・不満などの課題を解決し、アイデア、技術など付加価値を創造できるのは、顧客と身近に接する従業員しかいません。従業員の努力や協力なしでは、価値を創造することはできません。

従業員が、企業の価値観を共有できていれば、企業が目指す目的、目標に向かって、従業員は自ら考え、自律的な行動が起こせます。

経営者と従業員が、経営理念、経営目標、行動規範を共通の価値観として、その実現のために協力し合うことが、新たな労使関係の構築につながります。

経営者の価値観、事業観が、従業員に明確に伝わってこそ、企業への忠誠心や帰属意識が芽生えます。


事業の戦略と計画

企業を経営する上で、戦略と計画は必要です。戦略とは、企業が掲げる経営目的を達成するために、示すべき方向性やその方策のことであり、計画とは、戦略を実行するためのプロセスや行動の仕方をいいます。

事業戦略とは、顧客が必要としていること、顧客が実現したいことを、形にすることであり、だれに(顧客の特定)、なにを(商品のコンセプト)、なんのために (顧客にもたらす便益や満足、顧客が得たい効用)を明確にすることです。

事業戦略は、市場を選択し、限りある経営資源を集中させることにあります。

■ 市場(顧客)の動向分析 (リサーチ)
■ 市場の細分化 (セグメンテーション)
■ 市場の選択 (ターゲティング)
■ 市場の差別化 (ポジショニング)


事業戦略の策定に、顧客と身近に接する従業員が参加しなければ、顧客が必要としていること、顧客が実現したいことを、形にすることはできません。 

事業計画とは、事業戦略を実現するために、だれが、なにを、いつまでに、どうやって行動するか、そのプロセスを明確にし、組織やその構成員である従業員が、成果を上げられるように計画することです。

■ 商品コンセプト (機能・品質・ブランド・デザイン・アフターサービス)
■ 価格 (定価・値引き・取引条件)
■ 流通 (流通範囲・在庫・店舗・ECサイト)
■ 販売促進 (広告・キャンペーン・イベント)


事業の目的は、顧客に満足してもらえる価値ある商品を創造し、その価値に相応しい価格で、必要とする顧客に提供することです。

顧客の悩みや不安・不満・不信などの課題を解決し、顧客に満足してもらえる付加価値を創造し、提供するのは、すべての従業員の努力や協力がなければなりません。 

従業員が、日常の仕事を通じて、事業戦略を定め、事業計画を達成できるように、人材を機能させる仕組みを作る必要があります。この仕組みが、人材戦略です。

人材戦略は、事業戦略に沿ったものでなければなりません。

人材戦略の目的は、事業戦略や事業計画を実現するために、従業員が自ら考え、意思決定し、解決のため自ら行動し、成果を出せる、自律的な従業員と組織を作ることにあります。


人材戦略

人が行うことに変わりはありませんが、仕事と労働(働くこと)は、異なります。

人が楽しく働けても、仕事の生産性が上がらなければ、企業は存続できません。仕事の生産性が上がっても、人が生き生きと働けなければ、健全な企業とはいえません。

人材戦略とは、人材を機能させる仕組みを作ることです。その目的は、事業戦略や事業計画を実現するために、従業員が自ら考え、意思決定し、解決のため自ら行動し、成果を出せる、自律的な従業員と組織を作ることにあります。

自律的な人材や組織を作るためには、仕事の生産性と労働の生産性を向上させる仕組みが必要です。

仕事の生産性とは

仕事とは、企業が抱えるさまざまな問題や課題を解決することにあります。

仕事には、目的、目標、機能があり、責任と権限が伴っていなければなりません。

仕事は、合理化、機械化によって、自由にデザインしなおすことができます。

作業のムダを省き、業務の機械化や職務の統合により、スリム化することができます。

仕事の生産性とは、仕事のあり方、やり方を見直し、効率化、合理化を図ることにあります。

そのためには、仕事を、その目的、目標、機能によって細分化し、組織化することです。

労働の生産性とは

一方で、労働すること、働くこと、仕事をするのは、人です。

人が働くこと、労働することによって、仕事は行われます。

人は、機械ではありません。人には感情があります。

感情があるからこそ、人に感動を与えることができます。

感情を持つ人が働くためには、やりがい、生きがいが必要です。

労働(人)の生産性とは、労働する人のモチベーション(やる気、やりがい)を高めることにあります。

そのためには、人が働くことに、やりがいを感じられる制度と環境を整備することです。

  仕事(物) 労働(人)
全体
組織開発

(事業の戦略化)

事業の効率化、革新化

労務管理

(職場環境の整備)

組織の活性化、自律化

単体
職務改善

(仕事の価値化)

仕事の細分化、可視化

人事管理

(やりがいの創造)

人材の自律化


以上