仕事と労働は違う

企業には、果たすべき仕事があり、人が労働すること、働くことによって、仕事が行われます。

 人が行うことに変わりはありませんが、仕事と労働は、異なります。

米国の経営学者であるドラッガー氏は、その著書「マネジメント エッセンシャル版」で、次のように述べています。

仕事と労働(働くこと)は根本的に違う。仕事をするのは人であって、仕事は常に人が働くことによって行われることはまちがいない。

しかし、仕事の生産性をあげるうえで必要とされるものと、人が生き生きと働くうえで必要とされるものは違う。

働く者が満足しても、仕事が生産的に行われなければ失敗である。逆に仕事が生産的に行われても、人が生き生きと働けなければ失敗である。

仕事の生産性が上がっても、人が生き生きと働けなければ、企業、従業員ともに不幸なことです。人が楽しく働けても、仕事の生産性が上がらなければ、企業の存続が不確かなものとなってしまいます。 


仕事とは


企業にとって、仕事は、企業が抱える問題や課題を解決することにあります。

そして、仕事は、事業戦略によって、具体化されるものであり、事業計画によって、組織と人に割り当てられるものです。

仕事には、目的、目標、機能があり、責任と権限が伴っていなければなりません。

仕事は、一人で完結できるものは少なく、多くの人たちが関わる一連のプロセスとなっています。仕事を効率よく、生産性を高めるには、組織が必要です。

仕事は、その目的、目標、機能から、企業が自由にデザインすることができます。

仕事は、その目的、目標、機能によって、職務に分類でき、職務は、業務、作業と階層化することができます。

仕事そのものは、合理化、機械化することができ、生産性を向上させる対象です。

生産性の向上とは、仕事をデザインし直すことであり、作業のムダを省いたり、ITを活用し、業務を合理化したり、職務の統合によって、仕事をスリム化することです。


労働とは


一方で、労働すること、働くこと、仕事をするのは、人です。

人が働くこと、労働することによって、仕事は行われます。

人は、機械ではありません。人には感情があります。感情があるからこそ、人に感動を与えることができます。

感情を持つ人が働くためには、生きがい、やりがいは必要です。

仕事そのもの以外に、信頼し合える仲間がいること、仕事を通じて、自身の目標を達成することなど、働くこと自体に、やりがいや生きがいを求めています。

東京ディズニーランドには、パーク内の清掃をするカストーディアルという仕事があります。

ローラーブレードで清掃したり、落ち葉でミッキーマウスの顔をつくるパフォーマンスが話題となり、カストーディアルは、人気の職種となっています。

開園当初、カストーディアルの仕事は、最も不人気な職種であったそうです。アルバイトを募集してもほとんど集まらず、途中で辞める人が多かったそうです。

仕事には、それぞれ機能、役割があり、目的、目標があります。

カストーディアルの仕事は、単なる清掃ではなく、パークを清潔に管理すること、お客様であるゲストに声をかけ、困っていれば手助けし、保護することにあります。

ディズニーのミッションである「すべてのゲストにハピネスを提供する」ためには、パーク内にゴミがあってはなりません。ガラス窓に、ほこりや水アカがあってはいけません。

ゲストの重い荷物をもってあげる。ゲストの記念撮影を手伝う。

カストーディアルの仕事は、ディズニーのミッションを実現するために、なくてはならない仕事なのです。

配属される新人にも、仕事の重要性を繰り返し伝えたそうです。会社も、カストーディアルの時給を高めに設定するなど、従業員にカストーディアルの仕事の重要性を浸透させることに努力しました。

その結果、カストーディアルの仕事に携わる従業員は、仕事に誇りをもち、主体的に仕事に取り組むようになったそうです。

清掃のショーアップ化や仕事のスキルに応じた段位制度は、アルバイト従業員によるアイデアだそうです。

仕事そのものの目的、目標が明確であれば、働くこと、労働することに、やりがいや生きがいを見出すことができます。  


以上