組織の目的と役割

事業目的を達成するためには、多くの問題・課題を解決しなければなりません。

仕事とは、その問題・課題を解決することにあります。

仕事は、一人で完結できるものは少なく、多くの人たちが関わる一連のプロセスとなっています。

仕事を効率よく、生産性を高めるには、組織が必要です。

組織は、事業目的を達成し、仕事の成果を上げるための手段です。同時に、ともに働く人達の生産性を高めるための道具でもあります。

組織の基本活動は、企業の価値観に基づく事業戦略に沿ったものでなければなりません。

組織は、日常の基本活動を行うことが、成果につながる構造となっていなければなりません。

仕事を組織化する場合、次の方法があります。


1.職能別組織


仕事の機能、役割によって、技能別、職能別に編成された組織 


2.チーム型組織


特定の仕事に係る問題・課題を解決するために編成された組織



米国の経済学者ドラッカー氏は、その著書「マネジメント エッセンシャル版」の中で、組織には、次のような守るべき原則があると述べています。

1.組織の構造を誰もが理解でき、透明性があること
2.組織には、最終的な意思決定者がいること
3.組織には権限があり、権限には責任が伴うこと
4.組織の誰にとっても、上司は一人であること
5.組織の階層は、可能な限りフラットであること


また、職能別組織であれ、チーム型組織であれ、どのような組織構造にも欠点はあり、唯一絶対の組織はないとも述べています。

組織は、目的達成の手段であり、組織の健康を判定する基準は、成果であると言っています。


中小企業における組織の構造は、多くが、階層構造の職能別組織となっています。

職能別組織の長所は、技能、職能によって、仕事を分割するため、その道の専門家を育成しやすい点にあります。

また、同じ専門家であるため、コミュニケーションが取りやすく、問題解決が早い利点もあります。

職能別組織の欠点は、自らの技能、職能を重視し、組織全体ではなく、部分の最適化を図ろうとするところにあります。

職能別組織は階層が増加しやすく、係長、課長、部長といった中間管理層が、プレーイングマネジャー化しているため、現場で、人材の育成、人材の有効活用が機能しないことも挙げられます。

 企業における仕事には、部門間、組織間を横断する問題・課題を解決しなければならないことが多いのではないでしょうか。

イベント、キャンペーンを開催し、集客UPを図る、組織全体を合理化し、経費削減を図る、新しい事業、イノベーションを創造するなど、職能別組織では、うまく対応できない仕事があります。

チーム型組織とは、異なる技能、職能をもつ専門家達が、特定の仕事を処理するために、編成された組織をいいます。

特定の仕事を完結させ、成果を出すことが、組織のミッションであり、メンバー同士が、組織の目的、目標が共有しやすい利点があります。

顧客を創造し、価値を創造するには、商品のような有形物の価値よりも、サービスのような無形物に価値を付加することが重要となってきました。

現代マーケティングの父と言われる米国のフィリップ コトラーは、顧客が商品に求める価値を、次のように定義しました。

尚、ここでの商品とは、サービス事業者が提供する無形物のサービスも商品と捉えています。

1.商品そのものが顧客にもたらす価値(機能、性能、品質、効用)
2.商品に付随するサービスが顧客にもたらす価値(安心感、高級感、利便性)
3.従業員が顧客に接する際などに顧客にもたらす価値(まごころ、おもてなし)
4.商品や企業のブランドやイメージが顧客にもたらす価値(自分らしさ、自己表現)


モノや情報が溢れている現代社会で、顧客は、商品・サービスの機能、性能ではなく、自分にとって、精神的、感情的な価値をもたらす商品・サービスに、関心を示すようになってきました。

無形物のサービスに、いかに価値を付加するかが重要になっています。顧客の欲求や期待を超えた無形物のサービスを提供することが、企業のブランド価値を高めることになります。

商品・サービスを通じて、企業が提供する価値観を、顧客が自身の価値観として共有できたとき、顧客は、その商品・サービスに、自分らしさを表現する価値を見出すこととなります。

価値を創造し続けることが、企業競争力の源泉であり、企業競争力の違いは、顧客と身近に接する職場・現場の組織力の差と言えます。

職場・現場の組織力は、その構成員である従業員の自律性と協働によるチームワークにあります。

トヨタの強みは、職場・現場で、問題・課題を臨機応変に改善し、解決していく対応力であり、職場・現場の自律的な組織力にあります。

上からの指示命令によって、動くのではなく、自ら問題・課題を発見し、自ら改善し、解決する自律的な組織となっています。

顧客の価値を創造することは、顧客のニーズを、自らの問題・課題と認識することであり、その問題・課題を解決していくことが、自分たちの仕事と認識しています。

仕事は、人が行うものですが、やらされて行うのか、自律的、主体的に行うかによって、成果に違いがでてきます。

組織の目的、目標を実現することが、組織の仕事であり、その構成員である従業員は、組織の仕事を、協働して、達成し、成果を出すことです。
  

経営資源 職務 業務内容 業務目的
人・物・金・情報 経営 経営理念/経営戦略/顧客満足度 経営資源の価値を高め、より高い価格で
企画・開発 商品の差別化/付加価値化 価値ある商品を開発
製造・配送 商品の品質管理/原価低減 価値ある商品を製造
保守 商品のメンテナンス 顧客をアフターフォロー
営業 商品の販売/顧客管理 商品価値を認めるお客様へ提供する
人事・労務 人事・労務管理/従業員満足度 人の有効活用・育成
総務 設備・財産管理/広報宣伝/渉外 物の有効活用
法務 登記/訴訟/コンプライアンス 物の法的管理
経理 税務管理/会計/決算 金の有効活用
情報 情シス 情報共有化/機密保持 情報の有効活用


職務の目的と役割

 それぞれの組織(職場・現場・チーム)には、その組織の目的、目標を達成するために、仕事があり、仕事には、それぞれの役割が与えられています。

仕事の目的、目標は、事業戦略によって、定義され、仕事は、事業計画に従って、従業員一人ひとりに割り振られるものです。

仕事が顧客の創造、価値の創造であるならば、仕事そのものに、創造につながる作業が含まれていなければなりません。

仕事には、機械で処理できるものもあれば、人の手、人の知恵や工夫で解決しなければならない仕事もあります。

マニュアルに沿って、処理できる仕事もあれば、人の高度なスキルやキャリアがなければ、対応できない仕事もあります。


仕事を、職務(大分類)、業務(中分類)、作業(小分類)に細分化し、「業務プロセスの可視化」を図ることが必要です。

大分類 中分類 小分類
職務 業務 作業
営業 新規顧客開拓

市場の細分化

競合との差別化

見込客リストの作成


業務プロセスが明確になれば、作業の付加価値化、作業分担の見直し、重複作業の集約・削減が可能となってきます。

作業の付加価値化は売上拡大・収益向上に、作業の見直しは経費削減につながります。

仕事そのものは、合理化、機械化することができ、生産性を向上させる対象です。

業務の種別 補助業務 基幹業務 高度業務
業務の内容 定型業務 定型業務 非定型業務
作業の内容 付随作業 主作業 付加価値の高い作業
難易の度合 マニュアルに従って、やればできる マニュアルを実行するには、経験・技術が必要 マニュアルがないので、自ら課題を企画・解決が必要
責任の度合 義務を履行する 業務遂行責任が求められる 結果責任が求められる
利益の度合 利益を生まない 利益を生む より高い利益を生む


今後も人手不足・人材不足が予測されることから、仕事を細分化、可視化し、次のような検討が急がれます。

1.補助業務は、IT化、アウトソーシングで、従業員の負担軽減を図ること

2.基幹業務は、価値向上に直結する問題・課題を洗い出し、改善を図ること

3.高度業務は、将来の顧客を創造する大事な仕事であり、集積化すること


仕事は人によって行われる



事業の目的や仕事の目的が、顧客を創造し、価値を創造することであるならば、機械が価値を創造することは困難です。

感情を持つ人でなければ、顧客を感動させる価値を創造することはできません。


顧客の悩みや課題を解決するために、「何に困っているのか」、「何が必要なのか」を常に考え、商品・サービスの価値を高めることができるのは、従業員しかいません。

人が、働くこと、仕事を処理することによって、価値が創造され、事業の成果が生まれます。


仕事を処理する従業員には、仕事に応じたスキル、キャリアが求められますが、どのようなスキル、キャリアなのかを、企業は明確にする必要があります。

キャリア: 多能工化 マルチタスク 
生産性向上のため、持ち場以外の仕事もこなせるように、1人の業務範囲を拡大

スキル: 高度専門化 価値創造
 より高度化、専門化した業務に特化し、自分の強み、プロ意識をもたせる

自律性: 価値創造 
自分たちで考え、発想して新しい価値を創造する姿勢 

以上