目的意識を持たせること

自律的な人材を育てるためには、従業員のモチベーションが高くなければなりません。

企業は、従業員のモチベーションを高めるために、仕事のやりがいを与え、仲間との協働を通じて、従業員のやる気を引き出すことが必要です。

従業員のモチベーションを高める方法として、自分自身の心の中から湧いてくる感情や欲求によって、行動を喚起させる「内発的動機付け」があります。

人には、このままではいけない、変わりたい、変えたいといった変化を願う、自分自身の心の中から湧いてくる感情や欲求があります。これらの感情や欲求が、人を行動へと突き動かす、内発的動機付けとなります。

従業員に、ポジティブな変化への感情や欲求を持たせるためには、プロ意識、当事者意識、連帯意識など、その目的を意識付けることが大切です。

 自分を変えるには、プロ意識を持つこと

 仕事、会社、社会を変えるには、当事者意識を持つこと

 他者を変えるには、連帯意識を持つこと

  

  


1.プロ意識を持たせて、スキルを活かすこと

従業員にプロ意識を持たせて、スキルを高め、スキルを活かすことが、従業員に自ら行動を起こさせる、内発的動機付けとなります。

清掃業務であっても、プロ意識をもって、スキルを熟達させれば、その道のプロ、専門家をして、業界や地域社会で認められ、賞賛されることになります。

企業は、そのようなスペシャリストを育て、支援することも、大切なことです。企業に、業界や地域社会に認められたスペシャリストがいることは、従業員にとっても、励みとなり、誇らしいものです。

従業員にプロ意識を持たせるためには、仕事を通じて、スキルを習得し、習熟させ、熟達できるように、企業は、次のような支援を続けることです。


1.仕事を通じて、仕事を遂行するに必要なスキルを習得させること


従業員は、支援者である上司や仲間に感謝し、支援者は、仲間を信頼し、褒めて、自信を持たせることです。企業は、OJTなどの人材育成制度を用意し、支援者を評価することです。


2.自己の強みを知り、自己の強みを仕事に活かし、スキルを習熟させること


従業員は、自己の価値、強みを活かして、仲間の役に立ち、必要とされることです。企業は、従業員の価値、強みを活かせるように、成長の機会を与えることです。


3.目指すべき将来像、自己ビジョンを明確にし、プロ意識を持たせること


従業員は、自己ビジョンを持って、自己啓発することです。企業は、自己啓発できるような環境や制度を作ることです。


4.プロ意識をもって、仕事にスキルを活かし、スキルを熟達させること


従業員は、その業務の専門家として、仲間を支援し、仲間のともに成果を上げることです。企業は、従業員を、その業務の専門家として評価し、権限を委譲することです。


2.当事者意識を持たせて、キャリアを活かすこと

従業員が、危機意識や問題意識を持っていても、当事者意識が低ければ、責任逃れ、責任転嫁が起きてしまいます。

従業員に当事者意識を持たせるためには、危機や問題を気付かせ、その危機を乗り越えられる、問題を解決できると思わせる、できそう感を与えることです。

この気付きとできそう感が、当事者意識を生みます。

危機や問題を気付かせるには、組織の目的とする、あるべき姿と現状の違いを、数値化し、可視化することです。

危機を乗り越えられる、問題を解決できると、できそう感を持たせるには、キャリアに応じた責任と権限を与えることです。

小さな成果であっても、成功するまで、支援を続けて、自信を持たせることです。

従業員が与えられた役割とその範囲を認識し、その役割と責任を持って果たすことが大事です。

従業員に当事者意識を持たせるためには、仕事を通じて、キャリアを高められるように、企業は、次のような支援を続けることです。


1.企業の価値観を浸透させること


従業員は、企業の価値観である経営理念・経営目標・行動規範を共有することです。企業は、企業の価値観を、機会あるごとに説明し、浸透させることです。


2.仕事に誇りを持たせること


従業員は、組織や顧客にとって、必要な仕事であることを認識し、誇りを持つことです。企業は、組織や顧客からの感謝の気持ちが伝わる仕組みを作ることです。


3.現状の問題・課題に気付かせること


従業員は、組織のあるべき姿と現状の違いから、問題・課題に気付くことです。企業は、組織のあるべき姿と現状を、目標値、標準値として定量化し、情報を提供することです。


4.目標と対策を立てさせること(PLAN)


従業員は、目標を立て、多くの対策を洗い出し、優先順位を決めることです。企業は、従業員のスキルに応じて、目標を設定させ、強みが活かせるように、支援することです。


5.対策を実施させること(DO)


従業員は、すべての対策を実施し、失敗しても成果がでるまで、集中的に取り組むことです。企業は、定期的に、従業員に、報告・連絡・相談をさせ、進捗をチェックし、支援をすることです。


6.効果を確認させること(CHECK)


従業員は、成功体験、失敗体験から得られた効果を、知恵やノウハウとして確認することです。企業は、従業員がもたらした成果に、感謝を伝え、称賛を与えることです。


7.成果を定着させること(ACT)


従業員は、得られた知恵やノウハウを、全従業員が共有できるように、仕組みを作ることです。企業は、仕組みが定着するように、全従業員に徹底することです。


3.連帯意識を持たせて、マインドを育むこと

東京ディズニーリゾートでは、経営理念に、「すべてのゲストにハピネスを提供する」を掲げています。行動指針として、①安全性、②礼儀正しさ、③ショー、④効率があります。

東京ディズニーリゾートには、自主的・主体的に相手を思いやる、ホスピタリティマインドがあります。ホスピタリティマインドを価値観とする、人がお互いを認め合い、人を活かし、人を育てる精神・哲学があります。

東京ディズニーリゾートでは、ホスピタリティマインドが、挨拶やお辞儀の仕方といったスキルよりも大切にされています。相手を思いやる気持ち、思いやりの精神が、すべての従業員の行動に、反映されています。

行動規範とは、企業が、経営理念や経営目標を実現するために、従業員に求める価値観・倫理観・行動指針、行動基準を示したものです。

行動規範には、従業員、顧客、地域社会への思いやりの精神が必要です。同時に、すべての従業員が、行動規範に共感し、共有しなければ、意味がありません。

すべての従業員が、行動規範を共有するためには、相手を否定するのではなく、認めることが基本です。認めていることが相手に伝わらなければ、信頼関係は生まれません。

認めていることを相手に伝えるためには、それを言葉にするか、態度で示す必要があります。


言葉で伝える場合


1.挨拶する

2.声をかける

3.感謝する

4.ほめる

5.冗談をいう


態度で伝える場合


1.笑顔で接する

2.アイコンタクト

3.聴く

4.うなずく

5.ボディコンタクト(セクハラにならないように)


東京ディズニーリゾートでは、これらをストロークと言うそうです。

労務相談の多くが、上司、部下、同僚の関係にある従業員同士のトラブルか、経営者と従業員とのトラブルですが、トラブルの原因は、コミュニケーション不足にあります。

日頃から、感謝の気持ちを、言葉や行動で、相手に伝えること、相手にストロークを与えることが、コミュニケーション不足の解消に役立ちます。

従業員一人ひとりが、お互いを認め合う関係を作ることができれば、お互いを信じ、信じ合える信頼関係、連帯感が生まれます。

信頼関係が構築された組織には、人を大切にする企業文化や組織風土が生まれます。

従業員に、仲間との和を尊重する精神を持たせること、そして、企業は、従業員一人ひとりの個を尊重する精神を持つことが重要ではないでしょうか。


以上